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スマートウォッチを用いたスマートグラスについて

スマートウォッチを用いたスマートグラスについて

塚本昌彦(神戸大学),橋口和矢(ホログラム)

1.研究の背景と目的

スマートウォッチはここ数年でウェアラブルデバイスで最もポピュラーなデバイスとして浸透し、結果として低価格、高性能な機器が増え、健康管理をはじめとした「ウェアラブルならでは」の豊富な機能が提供されている。一方で、画面を見るにはワンアクションが必要で操作するには両手を使うという意味で、いつでも常時使うことを意図するウェアラブルとしては不十分である。それに対してスマートグラスは、ハンズフリーでの常時の情報提示が行えるなど、ポストスマホデバイスとして最も有力視されている一方、まだまだ市場が未成熟で、商品を買ってもアプリケーションがついていない、まだまだ重くて大きいものが多い、バッテリーの持ちが悪いなどの問題がある。本稿ではスマートウォッチを用いてスマートグラスを構成する手法を提案する。

2.これまでの研究内容

多くのスマートウォッチは表面に表示部、裏面に血流のセンサ部がある。側面に別途操作部がある。また、コンパスや加速度・角速度センサ、スピーカーやマイクが内蔵されている。これらの機能は最大限活用できるようにしたい。

そこでまず、スマートウォッチをこめかみに密着させる。表の表示部は2回反射させて目に正転表示を行うようにする。これにより画面が常時見え、時計やその他の情報が見られるようになる。血流は裏面の計測部によってこめかみで計測する。その他のセンサもある程度機能することが見込まれる。スピーカー、マイクも機能する位置にある。操作はこめかみを触って操作できる。結果としてアプリの多数が有効に継承され、超軽量でバッテリーが長持ちするというスマートウォッチのメリットが生かせることになる。

今回図1に示すようにApple Watchを対象として専用フレームを設計した。ミラーの一方は回転式の凹面ハーフミラーとなっており、焦点距離を伸ばすと同時に画面を拡大する。カバーについては、上面は全面を覆い、側面はスリット上にして外部からはウォッチ画面を見づらくする一方、ユーザーからは視界を確保する。下面は解放し、指を入れてウォッチ表面を操作できるようにする。Apple Watch以外のスマートウォッチも同様の方法で専用フレームを作れば同様の機能を実現できるものと考えている。

図1:Apple Watchを用いたスマートグラス「HoloStar」プロトタイプの外観

センシング性能について、図2に被験者1名(50代男性)が2か月間、本デバイスと通常のApple Watchを同時利用して計測した。Apple Watchが標準に備えるフィットネスアプリの一日後との計測値を頭部装着と腕部装着で縦横の軸にとりプロットしたものである。スタンド時間以外については強い相関があった(相関係数は上から順に0.93,0.86,0.71,0.96,0.96,0.90)。

図2:Apple Watchのフィットネスアプリ計測値の頭部装着、腕部装着の相関性比較(2か月分)

スポーツ種別を特化した「ワークアウト」は現時点では未調査で、種別によっては全く異なる可能性がある。心拍数はほぼ等しいことを確認している。血中酸素飽和度は少し上を向いてじっとすれば測れるが、値の相関性については未確認である。コンパスも少し上を向けば大体あっていることを確認した。音声通話は腕時計以上に良好で使いやすいことが分かった。操作に関しては画面が2回反転状況にあり、慣れないとかなり難しい。慣れにより使えるようになるのかどうかについては今後の調査が必要である。

3.まとめと今後の課題

スマートウォッチをスマートグラスとして使う手法を提案した。ウォッチをこめかみに当てるスタイルのフレームにより、多くの機能を残す形でスマートウォッチをスマートグラス化できる。実際に、既存のスマートウォッチ用のアプリがかなりそのまま使えることが分かった。現状では、現行のどのスマートグラスよりも圧倒的に使い勝手がよくアプリケーションも豊富であるものと予想される。問題点として、操作性、デザイン性、睡眠時の利用が挙げられる。本デバイスに特化した面白い使い方を考えれば使い方はさら広がる。ただし、ARグラスとしては不十分で、ほとんどのウォッチにはカメラが付いていないので目の前の実世界のシーンをとらえるのが難しい。なお、HoloStarはMakuakeでのクラウドファンディングによる資金調達を予定している。


ウェラブルコンピュータ研究の第一人者として各方面で活躍されている塚本昌彦教授がUWW2020で発表された内容をそのまま引用しております。

UWW2020
http://cse.eedept.kobe-u.ac.jp/uww2020/

Tsukamoto Terada Lab.
https://tt-lab.jp/

Team Tsukamoto
http://www.teamtsukamoto.sakura.ne.jp/


スマートウォッチをスマートグラスに変身させるホロスターとは

ホロスターの製品開発に携わった想いやスマートグラスの現状、今後の可能性について塚本教授に熱く語っていただいています。

YouTube video

Apple WatchにはSuicaやPASMOが設定できますが、ホロスターとしてヘッドマウントした状態でも果たして使えるのか?といったテーマにも果敢に攻めていきます!!(答えは動画の後半部でお楽しみください)

Makuakeにてクラウドファンディング実施中

ホロスターは現在Makuakeにてクラウドファンディングを行っています。